傀儡とDancin'

妄想の屠殺場


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ルールの束縛故

ぼくが王手をかけて、盤上の戦いは終結した。
まだルールが曖昧にしか理解出来ないもの同士の稚拙な戦い。あとで調べると、ぼくの王手はルール違反の末のものだったらしい。それを知ったとき、盤上ですらまともに戦えない自分は、世界のどこに属すべきか分からなくなった。

世界の上でただ呆然と立ち尽くす要らない駒になったぼくは、今日も公園に居た。傷痕だらけの腕でブランコの鎖を掴んでゆっくりと漕ぎはじめる。
空は遠く青く、日が目を刺す。涙がこぼれた。
思い切り漕ぎ始めて、平行を越えてしなる鎖をぱっと手放す。
ぼくが落ちて、空のブランコが後ろに跳ねた。朦朧とした意識の中で、誰かの足が見えた。

目覚めたのは次の日の早朝、病院の硬いベッドの上に管を繋がれて寝ていた。
ぼくが目覚めた事に気が付いたその人が、笑みを浮かべて声をかける。ぼくは応答した。
彼はいつだかの一局の相手だった。今の彼は、根掘り葉掘り僕のことを尋ねて、それから提案した。
一緒に事業を起こそう。そんな感じの、もっとお堅い言葉を羅列しての提案。ぼくはよく分からないまま、とりあえず頷いた。

彼はぼくの王手がルール違反だと分かっていたそうだ。あえて言わずに勝ったつもりにさせてくれたらしい。
それは苦痛になり得る優しさではあるが、ぼくが勇気を持つには必要なことだったのかもしれない。
世界のルールはもっとアバウトで、盤上の広さを考えれば一手の違いなど些細だ。
細かなルールに支配された小さな盤上から、もっと大らかな広い地に足をつけた気がした。ぼくはまだこの世界で生きやすくなった。
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